【体験談】耳は最期まで聞こえている

体験談

「らくいき」管理人のりかです。

先日、Twitter について記事にしました。

 

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そのTwitterで何気なくつぶいたツイートが反響がありました。

 

引用元:PVマフィア@pv mafia 氏tweetより

 

https://twitter.com/rikarespirator1/status/1055068151115726848

 

今回、私としては何気なくtweetしたのですが

お母様の看取りを経験された方から

「医療従事者の方から話が聞けて良かったです。」

と返信をいただきました。

 

また臨床工学技士の方から

「私も同じような経験があります。

この経験は絶対に忘れてはいけないし、伝えていかなくてはいけないと思います。」

との返信もいただきました。

 

理学療法士として病院で10年以上働いた経験を記事にしました。

私の経験がご家族や大切な方の看取りを経験された方の癒しになれば幸いです。

 

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私が経験した「耳は最期まで聞こえている」こと

 

当時、私は急性期の病棟で脳卒中や心臓疾患、

呼吸器疾患や癌末期の方の看取りなど様々な患者さんを見ていました。

いつ亡くなってもおかしくない状態の方が多く、

実際にリハビリの開始した日にお亡くなりになる方もいました。

 

ある時、若い男性の担当になりました。

その方は意識はなく、いつ亡くなってもおかしくない状態。

リハビリ中も急変の可能性があるので

「いつでも心臓マッサージができるような心構えでリハビリをしてください。

何かあったら緊急コールしてください。」

と主治医から言われていました。

 

実際リハビリを開始したときは人工呼吸器、点滴やおしっこの管、

胸には心電図モニターなどありとあらゆる生命維持装置がつけられていました。

 

鎮静(薬剤で眠らせること)はかけていませんが、

声かけにも反応がなく体の動きもなく痛み刺激にもとんど反応していない状態でした。

 

その方は若い方だったので奥様が医師や看護師、リハビリに対して強い口調で

「なんで目が覚めないの?何とかしてよ!」

と詰め寄る場面もありました。

 

私はただひたすら反応がなくても

「こんにちは、リハビリですよ。

今日は天気がいいですよ。体ほぐしますね。」

と毎日声掛けしながら、関節が固まらないように、

目が覚めた時にすぐ動けるようにとリハビリをしていました。

正直言うとその当時は『聞こえているだろう』とか考えずに

ただただ『何らかの刺激になってほしい』と思って声をかけていました。

 

最初は奥様は「話しかけても意味ないよ。」と言ってましたが、私が

「先輩から聞いた話ですが耳は最後まで聞こえてますよ。」

と言うと途中から話しかけたり体を触ったりされていました。

 

奇跡的に目が覚め人工呼吸器につながる管を抜いてご本人が言った一言。

「医者や看護師さんやリハビリの先生に対して失礼やろ。」

奥様を怒っておられました。

 

私が

「奥様もつらかったんですよ。」

とお伝えすると

「あっ、その声は

『こんにちは、リハビリですよ。体ほぐしますね』

って毎日言っていた人の声ですね。

いつも来てくれるリハビリの人ですね。」

と言われました。

そのあと奥様が医師や看護師リハビリの私に対して言った言葉の一言一句違わず、

その方は話され奥様に怒っておられました。

私と奥様は目を見合わせて驚くとともに鳥肌が立ったのを覚えています。

 

後日、リハビリをしている時に回復されたご本人に話を聞くと

「近くで話している内容は全部聞こえてるし、奥さんが泣いてたのも知ってる。

ちゃんと『生きてる人』としてリハビリの先生が話しかけてくれるのは嬉しかった。

時々、ほぐすのは痛い時あったけど(苦笑)。」

と言われてました。

 

この男性以外にも奇跡的に回復されている方は同じようなことを言われている方がいました。

 

この体験から理学療法士として得たこと、伝えたいこと

 

この経験から私はどんなに回復の見込みがないと言われている方でも

些細なことでも話しかけ、できるだけ体に触れるようになりました。

この方は回復されましたが、ほとんどの方はお亡くなりになる方が多かったです。

ただその方の最期の瞬間に

『私が話しかけた言葉が届いているのかもしれない。』

『 私が触れた刺激がその方の最後の刺激なのかもしれない。』

と思ってリハビリをするようになりました。

(病棟では『独り言が多い理学療法士』と思われていたようですが…。)

 

ただこのことは理学療法士の私だけではなく、

残されたご家族にとっても癒しになるのではと思っています。

 

実際、「話しかけるのが怖い。触るのが怖い。」といったご家族と

リハビリの時に一緒に話しかけたり触ることで

「私にもできることがあった。私の声や刺激も届いているのかな。」

と言ったご家族の声も聞かれました。

 

その方の身体機能をよくすることだけがリハビリの仕事ではなく、

その方を取り巻く方にも寄り添い、支えるのもリハビリの仕事の一つと考えるようになりました。

 

大切な方の最期に向き合われている方へ

 

今まで書いてきたことは私個人の経験であり、

絶対声が届いているという確実な医学的根拠や証拠ではありません。

 

でも最期の瞬間に大切な方の声が聞きたいと思いませんか?

触れてほしいと思いませんか?

もし今大切な人の最期に向き合われている方々がいたらお伝えしたいです

 

耳は最後まで聞こえています
肌に触れている感覚もわかります。
思う存分、話しかけ触ってあげてください。
ご本人にとっては
大切な方の声や肌の感触は心地良いはずですから…。

 

長文、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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